装束稲荷神社(東京都北区王子)


王子駅前ほど近く、北本通りから道一本入ったところにある装束稲荷神社。



かつて毎年大晦日になると、初詣のために関八州の狐がこぞって王子稲荷神社へ集まったと言われていますが、その際近くの榎の大木の根元で装束を整えていったのだとか。その姿は歌川広重の浮世絵でも有名です。
装束榎は明治期に枯れてしまい、その後も枯れ木が残っていたものの昭和4年に道路拡張のため切り倒され、その社も大通りから一本外れたこの地に移されたのだそうです。
昭和20年4月13日の空襲の際には、東南の方向からの火の手をこの地で食い止めて西北の住民たちを守ったということで、商売繁盛や衣装に不自由しない他、火伏の神徳も併せ持つということで信仰を集めています。



「いざあけん ゑび屋扇屋とざすとも 王子の狐 かぎをくはえて」
石碑に書かれた名前がちょっと読めなかったのですが、蜀山人としても有名な大田南畝の詠んだ歌のようです。



歌の通り、カギをくわえた狐。


現在では大晦日に装束稲荷神社から王子稲荷神社まで「狐の行列」と称してイベントを行っているそうで、江戸の昔と形こそ変われど、今もなお住民に愛されていることには変わりないようです。



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