深夜のコンビニにて

深夜に帰宅途中、メール便を出そうとコンビニに立ち寄る。環八沿いの普段は滅多に使わない店舗だ。

ちょうど商品入れ替えの時間帯らしく、中年の女性と年配の男性の二人で段ボールやケースに入った商品を慌ただしく棚に並べていた。
女性店員が棚越しに男性店員に声をかける。


「・・・して!」


早口にぼそっと言うので、内容は聞き取れない。男性はあわてて「えっ?」と聞きなおすのだけど、それに被せるように店内に響く声でこう言う。


「廃棄ッ!」


「ハイッ!」とその場で飛び上がるように返事をし、その場を片付けもせずに指示された棚へ行って賞味期限を迎えた商品を慣れない手つきでカゴに移していた。
もう、これだけで見ていられない。年配の方がこんな使われ方をしているのを見るのは辛い。しかも日中ならともかく、もう日付も変わろうとしている時間帯だ。このあと、彼は朝まで怒られながら働くのだろうか。


メール便のようなイレギュラーな業務は、正直言ってこの男性にはまだ荷が重いのではないかと思いつつも、レジ付近には彼しかいなかったので止むを得ずお願いしたのだが、案の定手際も悪く「急がないから大丈夫ですよ」と言ったもののしまいには手がぶるぶると震えてしまった。

ご存じない方のために一応説明をすると、メール便はA4までの大きさの場合その厚みが1cmまでなら80円、2cmまでなら160円と送料が異なる。店員は厚みを判定するために、それぞれ1cmと2cmの切れ目の入った定規を用い、その切れ目にお届けものが通るかどうかで送料を決定する。

この男性もルール通り定規を使い、2通は1cmの切れ目に入ったので80円、もう1通は1cmの切れ目には明らかに入らず、2cmの方に入ったので160円と判断して送り状にもそう記入していた…はずだった。


「3点で240円になります」


・・・なっ、何かを間違えてる!!


3通それぞれ厚みが違い、1通は分厚いので160円になるということを説明したのだけれど、「いえ、ぎりぎり入りました。80円です」の一点張り。送り状には160円のところに丸をしてあるのに…。
仕方がないので240円を支払って封筒を預けてきてしまった。


そもそも、完ぺきにやろうとするとコンビニの店員ほど大変なものはないんじゃないかと思うことがある。
掃除をしレジを打ち前陳しお弁当を暖め、おでんをよそり賞味期限の近い商品を片付け油ものを揚げ、公共料金やチケット、ゲームの予約販売やゆうぱっくやメール便の対応をし…これらすべてを客の動きを見ながら常に的確に要領よく動かなければならない。頭の中で同時にいくつものタスクを並列で流せる人間でないとなかなかうまくいかないだろう。若い兄ちゃんでも慣れないうちはなかなか大変だろうに、ましてやこういった客商売の経験のない中高年の方では、お店にもお客にも店員さん自身にも不幸な結果となってしまうケースのほうが遙かに多いんじゃないだろうか。


不況の影響なのだろうか、最近コンビニで中高年のバイトさんの姿を見ることが実に多いような気がする。
そういった方々の姿を見るたび、負けずに頑張ってほしいと願ってしまう。


イチ