その2 興福寺 お堂で見る阿修羅

さてさて、昨年の奈良観光の続き。(もう2ヶ月も前だ!)


早朝、長距離バスで到着した僕らは、近鉄奈良駅近くのマクドナルドでしばらく暖をとった後、興福寺へ。興福寺ではおりしも「お堂で見る阿修羅」として特別展示を行っており、奈良滞在中の11/23が最終日。僕らが奈良に到着した11/21は期間中最後の土曜日ということもあって、開場1時間前の8時にはすでに数十人の人が寒い中並んでいた。



まだ薄暗い興福寺五重塔。まだ参拝者の数は少ない。現在中金堂の再建中とのことで、基礎部分まで工事が進んでいるようだ。
平成12年までは、この場所に江戸時代に再建された中金堂が建っていたとのこと。これを創建当初の姿に甦らせるのだという。いつの日か再訪する時には、この時に見た建設途中の中金堂の記憶が良い思い出になることだろう。



8時前にはすでに行列が。この行列を突っ切るように、どこからともなく鹿さんがやってきて、どこへともなくゆうゆうと去って行った。



8:45、定刻を前倒してチケットの発売が始まったころにはこの行列。解りづらいけれど、右手奥のフェンスの向こうにもずっと行列が続いている。果たして後ろはどこまで並んでいたことやら。
事前に、Anjaさんのお父さんが平日に訪れたら数時間待たされたという情報を得ていなければ、開場時間直前にぶらりと訪れて、その長蛇の列に即倒していたかもしれない。Anjaさんに感謝!


ここから先は、頂いたパンフレットが見つからないので、記憶を頼りに。
阿修羅さんはじめ八部衆および十大弟子は仮金堂に安置されていた。いずれも天平時代に乾漆造で作られた国宝。1300年という途方もない時が、薄暗いお堂に立ち入った瞬間に一機に遡上していくような錯覚さえ覚えてしまう。これに似た感覚は今までに一度だけ感じたことがある。そうだ、新婚旅行で訪れたローマやポンペイで感じたのと同じだ。


この中では阿修羅像ばかり有名で、確かに目を引き付けられるのだけれども、他のものもとても魅力的。特に五部浄像(胸から下が失われているが)の、まだあどけなさが残る顔に宿るひたむきな眼差しが心を打つ。長い時を経ているにもかかわらず、彩色が残り衣装の模様がはっきりと認められるのにも感嘆させられる。
一説には、彼らのなんとも形容しがたい表情は、波羅門の鳴らす金鼓の音を聞き自らの罪を悔いている表情なのだという。


これだけでも、奈良まで来た甲斐があったというもの。また何度でも訪れたい!


イチ