叔母のお通夜

ずいぶん前に書きかけのまま保存しておいて、アップしそびれてしまったものだけれど、投稿しておこう。


10月17日、母の妹のお通夜に川崎まで行ってきた。

長く肝炎を患っていた。亡くなる2週間程前、入院を勧める医者に「もう出て来られないんでしょう?」と断り、しばらくの間を自宅で過ごしたそうだ。この頃に見舞った母によると、かなり黄疸がでていたものの、まだ言葉もしっかりしており、座ったりつかまり歩きもできたらしい。
だがすぐに食事もとれなくなり、次第に体調は悪化の一途をたどって信濃町のK大病院へ入院を余儀なくされた。

10月11日に、母と姉、ハギと僕の4人で病院にお見舞いに伺った時には、上体を起こすことはおろか、身体を動かすことも言葉を発する事もほとんどできず、薬のせいか夢と現の間をさまよっているようだった。食事はもちろん水を飲むこともできない状態なのだが、不思議なことに口の中に氷の欠片を入れると、コリ、コリと噛み砕くのだった。

「ウチでもよくこうして噛んで食べるんだ」と、叔父さんが静かに笑った。
古く狭い病室の中に、氷を噛む確かな音だけが響いていたのが哀しかった。


息を引き取ったのはそれから4日後、10月15日の未明だった。


叔母は趣味でドライフラワーのアレンジメントを習っており、地元の展覧会にも出品したりしていた。体調の悪い中入院を断ったのは、ドライフラワーのインストラクターの資格を取る試験のためだったらしい。
その認定証の届く予定は元々10月15日だったのだが、先生の配慮で10月12日にわざわざ病室まで持っていらしたのだそうだ。亡くなる前に、念願だった認定証を目にすることが出来たのがせめてもの慰めだ。


お通夜の場に飾られていた作品はどれも見事で、お通夜というよりはまるで個展のようでした。
ケータイの写真なのでうまく撮影できなかったのだけれど、下にその作品を紹介させていただきます。


イチ