ニッポニア・ニッポン(著:杉浦日向子)

ニッポニア・ニッポン (ちくま文庫)

ニッポニア・ニッポン (ちくま文庫)

先日の『百日紅』に続いて、杉浦日向子の『ニッポニア・ニッポン』。


1983年から84年にかけて、あちこちの雑誌に書かれた短編を集めた一冊。もともと一冊にまとめる事を意図していなかったであろうものなので、悪く言えば寄せ集めといった感じも無きにしも非ずといった感じではあるのですが、いずれも杉浦日向子独得の世界観が生かされ、楽しめる作品となっています。
自分が特に気に入ったのは、高橋阿伝の最期と後日譚を幻想的に描いた『夢幻法師』、貧乏町学者と女装の麗人(?)、三味線の名手でもある旗本の末っ子という風変わりな3人組を描いた『馬の耳に風』『月夜の宴』『冥府の花嫁』、読後感の暖かな『安らかな日々』。


それにしても、杉浦日向子がもうちょっと仕事熱心だったら!(笑)
きっと健康面などで思うに任せなかったこともあったのでしょうが、『馬の耳に風』の3人組の活躍をもうちょっと見てみたかった。まぁ、きっとこのあたりのお話が後の『百日紅』の北斎とその周辺のお話に昇華して行ったのだと思うのですが。


百日紅』『百物語』あたりを読んで気に入られた方は、是非手に取ってみてください。
好きな方には、オススメ。


イチ